『ルサルカ』オペラ

宮城組のオペラ。宮城聰演出・木津潤平空間構成・高橋佳代衣装・梶田キョウコヘアメイク。これに通常は音楽の棚川寛子が入るが、今回は、オペラなので。

日本ではとっても珍しいチェコ語での公演。

水の精ルサルカは、人間の王子に恋をし、その声と引き換えに人間となる。これは、阿部賢一氏(パンフに寄稿。事前セミナーで、宮城と対談した東大准教授)の話によれば、母語であるチェコ語を失い、ドイツ語の話されている王宮へ行くというチェコ語による仕掛けがあるという。自身がアメリカに行き、他言語での焦燥を味わったドボルザークにとって、感情移入してしまうテーマだったろう。

それは、言葉の在り方や成り立ちにまで思考を巡らせて演出する宮城にとっても嬉しいことであったようだ。英語、イタリア語、ドイツ語等には慣れ親しんでいるオペラ歌手たちにしても、チェコ語は初めての人も多い。初めての言語で感情を表すことは、初めて言葉を獲得するのに似た体験であり、そこになにか、みずみずしい魔法がかけられるのではないかと期待していた。

山岳民族のような衣装にしようか、といっていた水の世界の衣装は、ネイティブアメリカンぽくもあり、水、大地、といった根源的な自然に思いをはせた結果かと思う。

ルサルカの田崎尚美は最初硬かったが、だんだん声が伸びてきて、三幕の王子との二重唱はせつなさもやわらかに加味された。

イェジババの清水華澄は、ともすれば暗くなりがちな役どころを、明るい声調とキャラクターで、楽しく聴かせてくれる。

王子の樋口の華やかさ、ヴォドニクの清水の存在感、皇女の腰越の情熱的な高音など、どれも満足であった。

大編成のオケも、繊細に構成され、ホルンの響き、ハープのソロ、ティンパニの強弱の表現など印象的な演奏も多い。

今回はSPACの俳優陣も、イェジババの使い魔や、王宮の貴族役で助演し、楽しさを倍増させてくれていた。このオペラは、学生に開かれた回を設けているので、本拠地静岡のSPACで子供たちへの演劇の機会に力を入れてきた宮城の本領発揮で、親しみやすい部分を盛り込んでくれたのかな、という気がした。

日生劇場の美しい壁面をつないだ様な舞台に、照明があたると、その世界観、背景が一変する。王宮は、火のような赤がテーマに、水の中は青、最後の、水の中と死の世界を融合した場面では、ターコイズのような美しい色だった。特に、ピンスポットで、曲線と直線を浮かび上がらせた技術は美しい。

カーテンコールで、宮城組や照明の沢田、合唱指揮の水戸等全員がでて、実に暖かい雰囲気だったのが、このオペラの成功を物語っていたと思う。

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『ヤマトタケル』シネマ歌舞伎

『四谷怪談』はけっこうすいてて、そんな感じって思って行ったらびっくり!電車の遅れでぎりぎりだったら、残席5!係のお姉さん曰く「昨日も満席でした」

よかったー。駅から電話して、遅れても入れてもらえるって言われて安心してたけど、席なかったら入れないじゃんねえ!?さすがスーパー歌舞伎。

なので、前から2列目という見えにくい席だった。こりゃ寝ちゃうな、と思ったのに・・・寝られない!面白い!ド迫力!展開早っ!ゴージャス極まれり!

実際劇場行ったら、こんなアップじゃみられないので、美しい衣装の細部や、苦悶の表情なんかも見られて嬉しい。

それに、シネマ歌舞伎の良さってのが、ある。生の舞台の空気とは違うっていうのはあるだろうけど、どんなにいい席で見ても、舞台の時は、ある種の煩悶がある。それは、「こっちもみたいけど、あっちもみたい、表情も見たいけど、全体も見たい」というジレンマだ。全部が舞台に乗ってるので、自分の選択で視点を定めなけらばならない。しかし、人間は欲深いので「いいところを見逃したんじゃないか?」という疑念がつきまとうのだ。

その点、シネマは、もう視点を優秀な人が切り取ってくれてるので、他人まかせで、その画面を堪能できる。もちろん、アップばかりじゃないので、多少のジレンマは出てくるが、舞台よりずっと気やすい。

しかし、スーパー歌舞伎シネマ、初体験だったが、まさに、ショー。猿之助丞がラスベガスのショーが最先端で参考になるので、といってた意味が解った。さあ、観に来てくれた人を、別世界へ連れてくぞ!という気合が満ち満ちている。歌舞伎俳優たちの芯の通った演技に加え、雑技団から招聘したのか、ものすごいパフォーマンスも入り、前述したが、衣装に加え、髪飾りなども実に微に入り細に入り美しい。

そして、ヤマトタケルの乱暴者との幼少期の逸話の裏はこうだった、という前提から入るものがたりの面白さ。父に認められたいというタケルの想いや、愛しいタケルのために海に身を投じようとするオトヒメの想いが、せつない。

ダンスと旗を組み合わせた、草薙剣の名場面も躍動的である。

山神が変身した白い獅子も、大きさも早さも、今までみた着ぐるみ(?)の早さじゃなかった。迫力あります。

220分という長尺におびえてたけど、10分ずつ2回の休憩も入り、楽しく鑑賞できました(^^)/

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『としょかんライオン』

絵本の処方箋という落合恵子氏の本を見て、連れ合いがチョイスした一冊。

絵も、色鉛筆かな?柔らかい色調で、ライオンのふさふさ感やにこにこだったりしょんぼりだったりがとても良く出てます。人物の表情も。

図書館では静かにしなくちゃいけないんだなーって、図書館ビギナーの親子読書にも最適。

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