岡村昭彦の写真 「生きること 死ぬことのすべて」
今まで知らなかったが、素晴らしい写真展だった。
ベトナム戦争やロンドンデリーの紛争がメインで、その他小泉八雲関連のも。
展示の中に、昔「太陽」で岡村が書いた八雲の記事があった。ケース越しの1ページだけだったが、つい読んでしまい、それはとても読んで良かった内容だった。
八雲が友人と、何が道徳的に悪い行為か、と論じ、彼は「弱いものを自らの快楽のために傷つけること」と暫し黙考の後答え、その具体例を上げる。岡村もその話を知って、八雲先生が、熱いアイリッシュ魂の持ち主であると瞠目するのだが、私もだった。そういう話しを引き出して来たところに、岡村のパワーも感ずる。
敢えて主張を排除し、今ここでおこっている、人が人との間でしでかしている、それを写しとっていくような写真に感じた。
このように死にたくない。このように殺されたくない。だからこそ。
このように殺したくない。
誰をもだ。
戦争に入ってしまえば、殺したくないというまともな主張が、死に繋がる。
狂人の戯れ言に巻き込まれ、殺し合いを続けていくことになる。
岡村の強靭な精神と体力あってこその従軍写真も多々あった。
人物像も興味深いようだ。彼について調べてみたいと思った。
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 松竹大歌舞伎中央コース 北とぴあ(2018.07.03)
- マハーバーラタ (SPAC 2018.5.3,4)(2018.05.14)
- いつだって猫展(静岡市美術館)(2018.05.11)
- シミュレイクラム/私の幻影(2018.5.4)(2018.05.11)
- 『北斎漫画』の展覧会がうらわ美術館で21日から(2018.04.19)